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5月19日(日)から3泊4日で妻と北海道旅行に行ってきました。「北の大地」は、いま目にまぶしいほどの新緑の季節で、コースは、登別温泉、阿寒湖畔温泉、層雲峡温泉の温泉郷をめぐる快適なバスの長旅でした。行きも帰りも岡山空港発着の札幌線(新千歳空港)直行便でしたから非常に便利でした。ただ、お天気の方がぐずついて雨風に悩まされましたが、3日目に摩周湖が一瞬、霧のベールを脱いで全貌を見せてくれたのはラッキーでしたし、4日目の朝は青空がいっぱい広がり大雪山の稜線の残雪がキラキラ輝いて実に印象的でした。

(谷本国男記)

雨にけむる登別の露天風呂
【第1日目】5月19日(日)岡山空港に参加者47名が集結し、添乗員Bさんの案内により14時35分発のANA379便で一路、新千歳空港ヘ向けて飛び立ちました。新千歳空港へは1時間50分後の16時25分に到着。ここから観光バスに乗り、ベテランドライバーのM運転手、ベテランガイドKさんの名調子により登別温泉へ。 どんよりとした曇り空から小雨がぱらつくあいにくの天候でしたが「雨にけむる温泉」もまた風情があっていいものです。登別グランドホテルで旅装を解いて、さっそく露天風呂へ。流れ落ちる滝を眺めながら、ゆっくり肩を沈めますと、まさに別天地です。



名馬のメッカから襟裳岬へ

【第2日目】5月20日(月)登別グランドホテルをバスで8時に出発。広大な牧場が無数に広がり、牧歌的風景を左右に見ながら「サラブレッド銀座」を走ります。ここ日高路は日本ダービーで活躍したハイセイコー、オグリキャップ、ナリタブライアンなど数々の名馬を産んでいるところです。母馬に寄り添う子馬のほほえましい光景が見られました。また、記念館の広場には駿馬のモニュメントが設置され、車窓から名馬のメッカを見ることができました。

バスは展望所から日高耶馬渓を経て、森進一のヒット曲で知られる襟裳岬(えりも岬)に到着しました。この岬は非常に風の強いところで、帽子を深くかぶらないと吹き飛ばされます。眺めは雄大です。岩礁はアザラシの生息地で、岩の上で寝そべっているアザラシを望遠鏡で見ることができます。昼食は、毛カニの会席料理でしたが、やはり本場とあって味は格別でした。

雄大な眺め襟裳岬 風の館

展望台 燈台

忠類村の道の駅にも立ち寄りました。あいにく休日でしたが、ナウマン象記念館が隣接されていて、広場にはナウマン象親子の等身大の像が設置されていたり、遊歩道の芝桜が今を盛りと可憐に咲いていました。この芝桜は、住宅の庭先や公園など至る所に咲いていて、車窓から目を楽しませてくれます。また、野山には八重桜やリンゴの木の白い花が満開で彩りを添えていました。きれいに耕された広い耕地や牧場が果てしなく広がり、北の大地のどでかいスケールには目を見張りました。


静かに横たわる阿寒湖
バスは海岸沿いの黄金道路をひた走ります。この道路は黄金を敷きつめたぐらい建設費がかかったといわれています。昆布採りの風景があちこちで見られました。日本の市町村の中で一番面積の広い足寄(あしょろ)という町に入りましたが、ガイドさんの話によると、ここは松山千春や今政界を騒がせている鈴木宗男議員の出身地だそうです。

小雨にけむる阿寒湖の遊覧船 静かに横たわる阿寒湖

阿寒湖畔温泉に18時30分到着しましたが、今日だけでバスの走行距離は何と450キロ。途中トイレ休憩をとったにしても、たった一人のタフな運転には脱帽しました。ホテル御前水の部屋のすぐ前には阿寒湖が静かに横たわり、時折遊覧船が発着していました。ホテルから外に出ると、マリモやクマ、フクロウの木彫りを並べた土産物店が軒を連ね、温泉街らしい活気を見せていました。

「ノロッコ号」で釧路湿原へ
【第3日目】5月21日(火)ホテル御前水をバスで8時に出発。まず北斗展望台から釧路湿原を展望した後、釧路駅に向かいました。3番ホームから3両編成の「ノロッコ号」に乗り、釧路湿原を眺めます。向い合せで4人掛けの木製のテーブルと椅子が置かれ、全部指定席です。

3両編成の「ノロッコ号」 車窓から小雨の風景を眺める

貨車を改造しているため車内は冷え冷えとして、車窓を雨風が叩き、写真撮影はまず無理です。ガイドが車内放送していて、見どころの湿地帯では30〜40 キロに減速します。冬場の釧路湿原は丹頂鶴が飛来して、優雅な舞いを披露してくれるそうですが、残念なことに、この季節には1羽も見かけることはできません。

塘路駅に11時49分着。ここからまたバスに乗り、360度の地平線が展望できる「多和平」に登りました。なるほど展望台から首を360度回して眺めますと、パノラマのように地平線しか見えません。小雨混じりの天候で冷気が漂い、しかも風が強く、傘は吹き飛ばされそうです。牧草を食む馬たちがのんびりとした点景になっていました。

360度地平線が展望できる「多和田平」 のんびりと牧草を食む馬


「摩周湖」は霧も晴れて歓迎
次は、1年に4、5回しか霧が晴れることがないという幻の「摩周湖」を訪れました。さて、今日はいかがなものかと、わずかな期待を持ちながら記念撮影のため展望台へ急ぎました。何と摩周湖は私たちを歓迎してくれるかのように、霧のベールを脱いでいるではありませんか。雲の切れ間から光が射し、摩周湖の全貌を見ることができ、本当にラッキーでした。私たちの次の団体客まで記念撮影できたそうで、わずか10分間の光のショーでした。

樹間の向こうに摩周湖 傘をさして記念に1枚

一瞬、霧のベールを脱いだ摩周湖

ここからバスは、つづら折りの道路を登り、屈斜路湖を眺めながら「美幌峠」ヘ向かいました。美幌峠に着いた時は、雨足が一段と強くなり、しかもレストハウスは工事中で立ち寄ることができず、絶景とうたわれた美幌峠での展望は実現できず残念でした。バスは美幌峠を降りて端野海鮮バザール「オホーツク観光物産」にとまり、ショッピングタイムです。広い店内には海産物をはじめとする北海道の名産品がびっしり展示されています。

バスを見送るエゾシカの群れ
お土産をしっかり買い込んで、バスは今日の最終地になる層雲峡温泉へ向かいました。険しい山に挟まれた渓谷が延々と続き、それぞれに名付けられた奇岩・巨岩が車窓の両サイドに迫ってきます。渓流のほとりには、水芭蕉が白い花をいっぱいつけていました。「あそこにいる」「ここにもいる」と車内から歓声が上がります。エゾシカの群れが林の中から道べりに出てきて、キョトンとバスを見送ってくれました。

素晴らしい渓谷美に魅せられるうちに、バスはホテル大雪に18時45分に到着しました。夕食後、ホテルのロビーでアイヌの民俗舞踊があり、妻はそれを見に出掛けました。阪神ファンの私はテレビをつけて阪神ー巨人戦を見ることにしました。ちょうど阪神が3ー0でリード、薮が好投していたからです。その後、巨人が猛反撃に出て一挙6点とって大逆転したところへ、妻が帰ってきて「踊りはよかったよ、写真を撮ればよかったのに…」という声もうわの空、すでに後の祭りです。

ここのホテルには、大浴場、露天風呂、サウナなどが4カ所に別れてあり、全部チャレンジするとホテルから賞品が出るという粋な計らいです。チャレンジする人は熱心に回っていたようです。私は西館の露天風呂に入り、大雪山の残雪を仰ぎ見ながら、阪神の負け戦さも忘れて旅の疲れを癒すことができました。

キラキラ輝く大雪山の残雪
【第4日目】5月22日(水)いよいよ帰途につく最終日です。5時に起床、ひと風呂浴びて身支度を整え、妻と朝の散歩に出掛けました。外は昨日とは打って変わって雲ひとつない快晴で、ひんやりとして寒いぐらいです。見上げると、大雪山が紺碧の空にくっきりそびえ、稜線の残雪がキラキラと輝いていました。

紺碧の空にくっきりそびえる大雪山、残雪が輝く

バスはホテル大雪を7時に出発しました。道中の田園風景は今までのじゃがいも、大豆、小豆、とうもろこし、サトウキビなどの畑作とはがらりと変わり、田植えの終わった稲作の水田がずーっと広がっていました。地区によって、こんなにも作物が変わるのかと北海道の広さを実感しました。 旭川市街の手前から高速道路に入り、砂川ハイウェイオアシスという大きなパーキングエリアで最後のショッピングを兼ねて休憩。再び高速道路に入り右手に札幌の市街地や札幌ドーム球場の屋根を眺めながら新千歳空港に到着、11時55分発のANA380便で岡山空港に着いたのは13時35分頃でした。

「北海道の七不思議?」
車中でバスガイドさんから北海道の話をいろいろ聞いた中で、北海道の人は常識ですが、岡山人の私にとって、どうしても「北海道の七不思議?」と思えるものがあります。
1)ゴキブリがいません。うらやましいですね。
2)竹やぶがありません。やぶ蚊もいないんですね。
3)住宅には雨樋を取り付けていません。豪雪でこわれるからです。
4)瓦葺きの屋根を見かけません。住宅、寺院、神社の屋根はすべて45度勾配のカラー鉄板張りです。建設費が安くつきそうです。もっとも道南・道東地方に限られているようです。
5)サラリーマンには約10万円の燃料手当が支給されるそうです。暖房には1400リットルの灯油を消費しますから零下30〜40度の冬季は大変です。
6)信号機がほとんど見当たりません(農村地帯)。どの道にも1基40〜50万円もする視線誘導柱が立っています。積雪による道路幅の標識です。
7)野生の猿がいません。極寒の北の大地は猿も住みにくいんでしょう。             

─完─